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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)   □[第458号]2018/2/19□  □配信数 735□


スペーシア・メールマガジンの第458号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆視察レポート◆
 ・旅する新虎マーケット
 ◆図書紹介◆
 ・「新・観光立国論」
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆
 ・研究員募集(2018年4月〜)

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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○旅する新虎マーケット○

 先日東京へ訪れた際に、かねてから気になっていた「旅する新虎マーケット」という場所に
行ってみた。
 初めてこの名前を耳にする方にとってはあまりピンとこない名前だろう。この「新虎」とは、
このマーケットがある場所「新虎通り(環状二号線新橋〜虎ノ門地上部道路の愛称)」から
取ったもので、この新虎通りとは、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック(以下、
東京オリパラ)の際に、メインスタジアムと選手村とを結ぶ重要な道路の一部として位置
付けられている。そして「旅する」とは、日本全国津々浦々、地方都市の魅力を紹介する
マーケットであることを意味している。つまり「旅する新虎マーケット」とは、東京オリパラを
うまく活用して、日本の地方都市の魅力を世界中の人々に知ってもらおうというシティプロ
モ―ションの取組みなのである。
 このマーケットの面白いところは「全国津々浦々」と書いたように、PRに参加する3〜5の
都市が3か月ごとに設定されたテーマに合わせてどんどん入れ替わっていくところや、それと
関係してか、マーケットの施設が1つだけではなく、新虎通り沿道(のおよそ150mくらいの
幅の中であろうか)に7つの建物が点在しているところである。食を楽しめる「旅するスタンド」は
4カ所あり様々な都市の味を選ぶ楽しみがある。他にも特産品を購入できる「旅するストア」、
お茶ができる「旅するカフェ」、イベント開催などで使う「旅するラボ」といった簡素だがオシャレな
雰囲気の小さな建物がそれぞれ離れて建っており、通りを歩いて店舗を見るだけでも賑やかで
楽しい気分になる(さすが「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づく街並み再生地区に
指定されているだけのことはある)。ちなみに私が訪れた際は、1月〜3月期として「明の春と
開化(明治改元150年)」と銘打って、萩市、松山市、薩摩仙台市の3都市がPRに参加していた。
迷った末に萩市の食「萩の瀬付きアジフライ定食」を食べたがとても美味しかった。店のスタッフに
聞いたところ、外国人のお客さんは全体の1割程度だろうかということだったが、現時点でも
決して少なくない数値なのではないだろうか。東京オリパラ開催時には海外からの旅行者が
もっと沢山利用することだろう。
 2020年の東京オリパラ後名古屋市でも2026年アジア競技大会が控えており、これを機に
自らの都市のシティプロモーションを!と考えている自治体も多いだろう。はたして名古屋の
まちに「旅する名栄マーケット」なるものが登場するだろうか。今から楽しみである。
(大河原章介)

・旅する新虎マーケット
https://www.tabisuru-market.jp/

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2018/tabisurumarket/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「新・観光立国論」/デービッド・アトキンソン著○
 東洋経済新報社/2015年6月18日発行

 本書は、金融アナリストとして世界で活躍し、その後日本に移住して数十年、現在は
政府観光局の特別顧問も務める著者が日本の観光の在り方について、アナリストの視点から
描いた提言書である。非常に話題になった本なので読んだ方も多いかもしれない。
 「2030年までに外国人観光客8,200万人を目指せ」、これは政府が掲げる目標3,000万人
(執筆当時の数値、現在は6,000万人に上方修正されている)よりも大幅に高い数値だ。
それぐらい日本にはポテンシャルがあると著者は言う。これからの日本は人口減少が進み、
明らかにかつてのような経済成長が見込めない。その中で、今後GDPを大きく成長させる
にはどうすればいいか、それは観光を産業化した「観光立国」しかないと説く。なぜなら
観光の4条件である気候、自然、文化、食事に日本は非常に恵まれている稀有な国だからだ
という。そのポテンシャルは世界的にも非常に高いのだ。
 しかし、日本の観光への意識はまだまだ甘いと深く深く釘を刺されてしまう。まだまだ何が
資源が分かっていない、何を発信すればいいのか分かっていない、来てもらうために何を
整備すればいいのか分かっていない、・・・。玄関口となる空港の対応や公共交通機関の
営業時間、文化財等の解説、案内ガイド、街並みの整備などなど具体的な例を示しながら、
論理的にダメ出しがなされている。あのオリンピック誘致で有名になった「おもてなし」すら、
それはアピールの仕方が違うと否定している。
 では、どうするのか。やはりアナリストとして、マーケティングが基本になるのだ。外国人
観光客とひとくくりに捉えがちだが、当然一人ひとり好みは違うわけである。アジア系と
欧米系では違うというのは何となく分かるが、そんなレベルではなく、どの国のどの年齢層
といった細かいセグメントまでターゲットを明確にするのだ。そしてそこに向けた行動を
とっていくべきであり、さらにはお客様として相手の立場に立って考えることが基本だという。
こういう点がまだまだ徹底されていない、逆に言うと伸びしろがある。
 本書はこのような大局的な話だけではなく、現場に役立つ具体的な解決策も多く提案されて
いる。ここでは書かないが、ひとつひとつ納得してしまうので、ぜひ参考にしてもらいたい。
本書の続編である「新・観光立国論【実践編】 世界一訪れたい日本のつくりかた」(2017年
発行)で刊行され、より具体的な解説がまとめられているので、併せて読んでもらえると
いいだろう。
 最後に「2020年東京オリンピックが審判の日」になるという。オリンピック目当てに来た
人がそれ以外で観光目的で再度来日したくなるか、その判断を下す日ということである。
もうあと数年、日本、そして我が街・名古屋はどういう評価を受けるのだろうか。
(櫻井高志)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・研究員募集
 新年度、2018年4月以降の採用に向けて研究員1名を募集します。
 詳しくはホームページで記載します。意欲的な若い方の訪問を期待しています。

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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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