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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第379号]2015/1/19□    □配信数 738□

スペーシア・メールマガジンの第379号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆まちのトピック◆
 ・第四回「円頓寺・四間道界隈ショップ・マネジメント講座」
  〜コミュニティとのかかわり方〜
 ◆住まい・まちづくりコラム◆
 ・徒然随筆「岐阜県における町並みと保存運動01(岐阜市川原町)」
 ◆図書紹介◆
 ・「シビックエコノミー −世界に学ぶ小さな経済のつくり方」/00 著、石原薫 訳
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○第四回「円頓寺・四間道界隈ショップ・マネジメント講座」○
 〜コミュニティとのかかわり方〜

円頓寺商店街・円頓寺本町商店街・四間道界隈では、商店街の空き店舗活用や
町家をコンバージョンしての店舗活用が進みつつあります。そこには個店の努力と、
多くの関連する人・団体のまちづくり へのへのシナリオがあります。
講座では実際におきた事例をもとに歴史あるコミュニティ内での出店、事業運営に
関しての勉強会を実施しています。

一、二回目は地域での出店事例についてご報告いただきました。三回目は不動産の
視点から地域を語っていただきました。
第四回目の講座として、地域コミュニティで空き家をリノベーションし、新しいビジネス・
学生らと地域住民との交流を促進している事例をもとに、外部からコミュニティへの入り方
等についてお話いただきます。

講師は椙山女学園大学/大学院教授の村上心さんをお招きします。村上さんは高蔵
寺ニュータウンでの団地再生の現場で、実際の住宅をコミュニティの交流スペースへと
リノベーションし、学生と住民との協働の場を生み出す等、多くの実践を進めてきております。

日程:平成27年1月23日(金曜) 14時〜15時30分
場所:「わや食堂」5F
   愛知県名古屋市西区那古野1-20-30 
講師:村上心氏 椙山女学園大学/大学院教 授 
定員:35名程度
参加費:無料
お申し込みフォーム
https://pro.form-mailer.jp/fms/29f5a43459420

〜スペーシア嘱託研究員・藤澤〜

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○徒然随筆「岐阜県における町並みと保存運動01(岐阜市川原町)」○

 岐阜市川原町は織田信長の居館があった金華山の麓に位置し、古くから清流長良川を
利用した海運が発達し江戸時代には尾張藩による長良川役所が置かれ、市の観光を
代表する「長良川鵜飼」乗船場がある。川原町は、その町名が存在する訳ではなく、
湊町、玉井町及び元浜町の総称である。
 川原町は、長良川を利用して上流より和紙や木材などが流通し、町では紙問屋や
材木問屋といった町家群が形成された。現在は江戸時代及び明治時代に建造された
町家群がよく残されており、連続し調和した町並みを形成している。しかし川原町は
商業地として発展してきた町であるにも拘らず、現在は商家としての機能より専用住宅
としている住民の多い町である。
 建造時当初の外観の残る町家が比較的数多く残されている川原町で、町家保存を
主眼としたまちづくり運動は苦難であった。川原町には先祖代々居住する住民が多く、
その多くの住民が町並み保存を進めると観光客が増えて観光化が進み、住みづらくなると
感じた為であった。それでも地元有志の努力で、平成12年岐阜県の進める「長良川
プロムナード計画」に地元住民が参加、平成13年には川原町準備委員会が発足した。
この後、平成13年7月に「川原町まちづくり会」が設立され、「住みやすく魅力あるまちづくり」を
目指すこととなった。以降まちづくり会は、町並みに調和する門灯や旧型の赤いポストを
設置し、外来者説明用の案内看板を設置した。また、旧町家を利用した喫茶店や飲食店等が
新たに開店したことにより、町を訪れる一般市民や観光客が増えてきたため、案内用の
地図を作成し、町内各所で無料配布している。
 川原町まちづくり会の活動が進む中、周辺では新築マンションの高さや景観に対する
問題が勃興し、行政側でも市民を巻き込んでこの問題に取組むことになった。法的な
規制をかけるのではなく住民相互が「まちづくり協定」を制定し、町並みを守っていくことを
申し合せる事になった。その後地区住民の同意をいただき、平成16年4月に「川原町
まちづくり協定」が制定された。
 まちづくり協定では、伝統的な町並み景観を活かしたまちづくり、安全で暮らしやすい
住環境づくり等といった方針を示し、協定細則で建物高さ、外観(屋根及び壁)、景観
(建物の連続性)及びデザインといった細目に分けて規定している。まちづくり協定を
制定する一方で、住民意識調査により地区住民の特性がわかってきた。住民の意識は、
川原町の資源として歴史的な町並みや景観と金華山や長良川の自然を揚げ、
将来像としては落着いた歴史を重視し住宅を中心とした静かな町を望んでいる。また
現在の問題点として、建物の老朽化、空き家の増加と人口減少を揚げている。この様な
意識を踏まえ、まちづくり会は町並み景観保全の為電線地中化や、通過交通と
不法駐車等の取締り強化を含めた交通問題を検討し、電線地中化は実現された。
 町家は必ずしも現代の生活様式に適合しない訳ではなく、創意と工夫をすれば充分
住まうことは出来る(岐阜県古川町や岩村町では町家に住み始める人々が増えている)。
町並み保存と住み易い住環境整備は両立できると確信しているので、今後はまちづくり会が
相談と指導できる体制が必要となる。また現在修繕等の費用は全て住民負担となっており、
高齢者の多い地区住民にとっては重要な問題である。国の補助制度やまちづくり基金助成等を、
行政である岐阜市と協議・勉強し、出来るだけ少ない負担で町並み保存を継続できるように
していくことが、まちづくり会に求められている。
(嘱託研究員・田中清之)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/tsurezure/12gifukawaramachi/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「シビックエコノミー −世界に学ぶ小さな経済のつくり方」/00 著、石原薫 訳○
 (株)フィルムアート社/2014年8月25日発行

 社会変革の主体的な担い手となり、事業によって社会の課題を解決する「市民起業家」や
「社会的起業家(ソーシャル・アントレプレナー)」とは何かと興味を持つ中、本書を手に
取った。本書では、イギリスを始めとした欧米における「市民起業家」たちによる25の
活動事例が紹介されている。最初の見開きでは活動風景の写真や「市民起業家」の
メッセージ、活動成果の数値データ、次の見開きでは活動概要と系統図、最後の見開きでは
影響や学びたい点、類似事例などというように、1事例が各6ページで紹介されている。
 教会を保健センターと地域サービス事業の拠点に変えた牧師、閉鎖計画を機に患者の
社会復帰の実践と公共スペースへ転換をした精神科病院、クリーン技術を活用し住宅地に
溶け込むごみ焼却施設、大都市よりも速いブロードバンド網を構築した農村など、どれも
魅力的な活動である。
 「政府、地域の公共機関、民間、第3セクターのどの主体も、単独では、市民起業家が
立ち上がり、成功するための材料を揃えることはできない」、「どんな成功も、まずは
『いかなる組織にも単独でその地域の本当の市民起業家になれるだけの能力は備わって
いない』という事実を認めることから始まります」という2つの文章が、印象的であった。
「市民起業家」のアイデアや情熱はもちろん必要ではあるが、市民が当事者意識を持つことや
周囲の既存組織からの支援があってこそ、事例のように問題解決に繋がっているのだと思う。
 国や地方行政の力だけでの問題解決に限界がみえている日本においても、「市民起業家」が
大きな役割を担うことが期待されるが、まちづくりコンサルタントとしてはもちろんのこと、
一人の市民としても社会貢献や社会的責任について自然に考えさせてくれる一冊であった。
(山崎 崇)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・スペーシアが1年に1回発行しているラバダブの2015年版をホームページに掲載しました。
 今回で18号となりました。過去のラバダブも振り返ることができます。
 http://www.spacia.co.jp/rubadub/

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◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
  ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
  載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
  〒460-0008 名古屋市中区栄5-1-32 久屋ワイエスビル8階
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