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徒然随筆「建造物・住宅計画における風水」

 風水という古代中国からの考え方があり、前回述べたように考え方の原点は「気」の流れです。風水の考え方には「龍(りゅう)」「穴(けつ)」「砂(さ)」「水(すい)」があり、東を青龍、西を白虎、南を朱雀、北を玄武といいます。元来は風水の基本は、国土計画や都市計画という大規模な吉凶をみる考え方ですが、少し規模を縮小して建造物や住宅の計画にも適用することが可能です。
建築行為をするときには、まず土地の調査から始めます。そうすると土地の吉凶や吉方位を知ることが重要になるので、敷地の形状や高低差、道路位置や正確な方角を知ることです。代表的なものを風水上の考え方にしたがい述べると、下記のようになります。

  1. 敷地の形状;正方形が最もよく、三角形など無駄なスペースを生じるような形状はよくありません。できれば後方に空地などあれば、発展性があり吉方の敷地といえます。
  2. 敷地の高低;北が高く南が低い形状が最もよく、反対に北が低く南が高い敷地はよくありません。(ただし、この理論は北半球にのみ通用するものと考えています。)
  3. 道路の位置;道路が敷地境界に沿って面している形状がよいです。T字道路の突き当たりの敷地は、道路からの「気」をまともに受けるのでよくありません。
  4. 敷地の位置;区画整理後の敷地に見られるように、区画内の南東や南西の角地は、風水の考え方としては「気」を受け入れる形状になるので、方位的にいいでしょう。

 次に建造物の形状をみていくと、全体平面や立面計画による形状、設備等の平面計画、各室の位置や方位などにより、風水上の考え方がわかります。重要なものを述べると、下記のようになります。

  1. 全体の形状;敷地同様に正方形に近い平面が最もよく、内部に家具等を配置するときにも無駄なスペースを生じません。ときどき鋭角な平面形状をした建造物を見かけますが、鋭角方向の他の建造物に「気」を放出するので余りよいとはいえません。
  2. 玄関と門;門と玄関は一直線上にない方がよく、玄関からの「気」を塀で受け止めるようにしたいです。沖縄地方にある玄関前の塀は、まさにこの「気」を留めるものです。
  3. 玄関と階段;玄関を開けると正面に階段がある住宅を見かけますが、これも住宅内の「気」を玄関から逃してしまうので、余りよくありません。
  4. 設備等計画;火気(ガス機器やIHヒーター等)はある意味で「気」を発するので、火気と直角方向には扉や窓を設けない方がよいです。
  5. 各室の位置;便所は鬼門を外すことがよく言われますが、風水上はそういうことはありません。むしろできる限り見え隠れに計画し便所の「気」を閉じ込めることが大切で、例えば廊下の正面などは避けた方がよいでしょう。また玄関の正面に部屋を計画することや、廊下の突き当たりに窓を設けることなどは「気」を逃がすことになりますので、避けたほうがよいです。
  風水は都市や土地の吉凶をみるものではありますが、日本で盛んに言われている家相などとは違い、「気」の流れをみて判断していくものです。したがって或る意味では科学的に都市や土地の状況を判断していく方法であるといえます。また風水に関する著作本は数多く出ていますが、根本思想を理解して間違った著作本を選ばないように注意が必要です。(風水では、色などを取り上げていません。)









風水の図


敷地の位置



(2012.12.17/嘱託研究員・田中清之)