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サブカルチャーと観光
  財団法人箱根町観光協会が、6月上旬に新たに観光マップを制作している。その観光マップは「エヴァンゲリオン箱根補完マップ」である。エヴァンゲリオンは、1995年から約1年間放映された人気アニメであり、今回は新作が6月末に公開されることを機会に、作品制作者であるスタジオカラー及びガイナックス監修とタイアップして、町おこしのために行われた。箱根町は物語中に登場する架空の街・第3新東京市の設定となっており、物語に登場する箱根町の19カ所の場面を地図上で紹介している。その場所を巡ることで、アニメの世界を現実の世界で想像しながら楽しむことができるようになっている。実際に観光マップを手にはしていないが、調べてみると観光マップがなければ見逃してしまうような場所が多くある。しかし、アニメのファンには、アニメ世界と現実世界がその場所で繋がり、アニメ世界感を身近に感じることができるのであろう。
 そういった中では、最近の戦国武将ブームにも同じようなことが言える。「歴女」と言われる、歴史好きの女性が伊達正宗や真田幸村等の所縁の地を巡り、時代を超えてその場所の景色を見ながら世界観を感じている。戦国武将ブームのきっかけは、ゲームや大河ドラマ等の影響であるようだが、このように地域や歴史上の人物にスポットが当たることは、人を呼び込むためのきっかけとなる。特徴的なのは、両者とも若い世代において人気があることと物語や人物の世界観を感じることである。
 近年、観光は旅行業主体から消費者・地域主体に変わりつつあり、一つの手法として地域がアニメや漫画の登場人物と連携して観光に繋げることは可能性として大いにありえることではないだろうか。歴史は変えようのないものであり、ロケーションを多く変えることは難しいが、今ある地域資源をどのように活かしていくかが重要である。しかし、アニメや漫画、小説等の舞台となることは、他力本願となるため、地域住民が今ある歴史を大切にし、風景を維持する中で魅力的な場所とする中で、そういった物語に登場する魅力的な場所となれば観光につながっていくのではないかと思う。
(2009.7.20/朝倉卓也)