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理解が進まない「障害者差別解消法」

  最近、ある新聞で「盲導犬拒否55%経験 障害者差別解消法施行後の1年」をいう記事を読んだ。この記事は、日本盲導犬協会が2017年2月から3月にかけて全国の盲導犬利用者を対象にアンケートを実施し、170人から電話で聞き取りによる回答を得た。この一年間で55%が受け入れ拒否を経験し、77%が法律の施行で理解が変化したことを実感していないとの回答結果である。レストランやバスだけでなく、市役所が会議室への入室を拒否した事例もあったとのことである。
 障害者差別解消法は、正式名称は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」。差別を解消するため、国、地方公共団体、事業者には「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」が求められている。例えば、障害があることなどを理由に事業者に入店拒否されたり、アパートが借りられないというのが「不当な差別」、聴覚障害のある方に声だけでしか情報を伝えない、視覚障害のある方に書類を渡すだけにして読み上げないことなどが「合理的配慮の不足」となる。
 障害者差別解消法は、国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として2013年6月に制定され、2016年4月に施行と、施行までに十分時間をかけて制度化されたにもかかわらず、施行1年後の今でも不当な差別的対応がされているケースが後を絶たない。この法に書かれている内容は、誰もが暮らしやすい社会にしていくために必要な基本的なものである。個人的にも機会があることに普及に努めるとともに、もっと理解が進むことを期待したい。

(2017.6.19/浅野健)