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木造復権−木造都市づくりを考える−

 「学校、庁舎 低層は木造に」とする記事が中日新聞9月21日朝刊の一面を飾った。5月に「公共建築物木材利用促進法」が成立し、その施行を控えての記事だ。建築雑誌では最近、「木造復権」「循環・再生する木造建築」「進化する木造建築」「ここまでできる!火に強い木造建築」などの特集が組まれ、木造に対する注目が集まっているが、広く一般にも関心が高いことを示しているといえよう。
 そもそも学校が木造で建てられないということ事態が日本人の心情としては理解しがたいことだ。戦時中の空襲で焼け野原になったという経験が都市の不燃化を第一に考え、官公庁施設木造禁止令までだされた。そんな状況が大きく変わったのが2000年の建築基準法の改正。木造でも耐火建築物をつくることが可能となり、規模による制限はなくなった。一定の性能基準を満たせば、どんな大きな建築物でも木造でつくることが可能となったのだ。
 今回の法律の背景には林業振興があり、林野庁が主管庁となっているが、戦後植林した木材のCO2の吸収力が低下してきている中で木造建築物としてCO2を固定化し、第2の森林とするとともに、新たな森林を育てることでCO2吸収による地球温暖化防止のねらいもあり、基本方針は農林水産大臣及び国土交通大臣が策定することになっている。都市づくり、まちづくりの中で木造を位置づけていくことが重要だ。コミュニティの希薄化が課題となる中で、木の持つあたたかみがコミュニティの再生にもつながっていくのではないだろうか。

  木造都市研究会「木愛の会」は、建築やまちづくりの立場から木を見つめなおし、街に、暮らしに木を取り戻したいと考え活動しており、今年度の取組みとして10/9〜15に「ティバライズ建築展−都市木造のフロンティア inなごや」を開催する。本年5月に東京青山で開催され好評を博した建築展の巡回展であり、会場は新しい木造建築といえる木質ハイブリッド5階建の丸美産業本社ビル。名古屋市長に出席いただくトークセッションも予定しており、都市木造の可能性、特に公共建築のあり方について語っていただくことになっている。新しい木造の可能性を知っていただくよい機会になるのではないだろうか。多くの来場者を期待したい。

青山のスパイラルビルでの展覧会


展覧会で展示された木造ビルの模型
(なごや展でも展示されます)


なごや展の会場となる丸美産業本社ビル
(設計:高松伸/木愛の会会長)


2階〜5階に使われている木質耐火部材

(2010.9.27/石田富男・木愛の会世話人)