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世界各国のゴミ事情とインテリジェントなゴミ箱

 5月19日・20日に世界共通スペイン語試験DELEを受けた。DELEとは、読解問題70分、リスニング40分、論述40分、面接20分を二日間に分けて行われる。試験は全てスペイン語で行い、私の受験したB2レベルでは、スペインを中心とした都市問題やまちづくりに関するテーマが多く取り上げられる。そのなかでも面白いと感じたテーマがスペインやヨーロッパのゴミステーションに関する問題だ。
 スペインでは1ブロックか2ブロック辺りにゴミステーションが必ずあり、日本のように曜日指定で捨てるゴミが決められているわけではない。自分の身長160cmより少し高い、大きなコンテナがゴミの種類別に並んでいる。デザインは赤、青、黄色、緑などポップなデザインで、足元にあるバーを踏むと蓋がパカッと開くようになっている。そして、ゴミがコンテナ一杯になったのを見計らって専用のゴミ収集車がやってくる。その後、お掃除ロボットならず、お掃除トラックのような車がコンテナを掃除していくものがあるようだ。掃除をする人は見たことがあるのだが、まだ数が少ないらしくネット上にも写真は出回っていない。私もバルセロナに行ったときに探し回ったが出会えなかった。お掃除トラックが行かない地域は人の手で掃除される。
 それにしてもこのコンテナは地面に置かれているように見えるので、市の職員に「コンテナが倒されたり、動かされたりしないのか」と聞いたことがある。すると、コンテナは地面に専用のストッパーがついており、力ずくで動かすことは難しいらしい。専用のトラックでないとストッパーを外すことはできないようだ。
 ここまでスペインのゴミ事情について述べてきたが、試験の過去問で驚いたのはこのコンテナではなく、インテリジェントなゴミ箱についての話題である。
 新しいテクノロジーはリサイクルの面でも注目されており、インテリジェントバスがあるようにインテリジェントなゴミ箱があり、その目的とは別に様々なサービスを提供しているのだ。
 インテリジェントなゴミ箱の目的として、市民にゴミの分別をするためのモチベーションを上げるためであることと、分別を行わない者を罰することでリサイクル率を向上することが目的である。このインテリジェントなゴミ箱はリサイクルをする人を分析することが出来る賢いゴミコンテナなのだ。もちろん、コンテナに分別時に投入された廃棄物のタイプによってお金を払い、ゴミが満タンになると通知をして担当会社に通知し、廃棄物をより少ないスペースで占有するように圧縮する。障害を持つ人々に適したシステム、最新の情報を得るためのタッチ画面までついているものもある。いくつかの国では、入金返品返却システムDeposit, Return and Return System (SDDR)などの廃棄物支払い方法が促進されており、ゴミを分別するとコンテナは人物を認識してお金や賞品を受け取ることができる。
 具体的には、ドイツやその他の欧州諸国ではSDDRが導入されており、スペインでは多くの組織や市民がその使用を望んでいる。コンテナは、人々がコンテナにゴミを分別することができるように、必要な情報を発信している。彼らは廃棄物の有効性を確認し、消費者に払い戻す(例えば、デポジットとして支払った金額である25セントが払い戻される)。
 市民が廃棄物を適切に分別しないと、回収およびリサイクルシステムは非効率的になる。これは、特にスペイン国内の石油リサイクルで発生する。そういった理由から、Biouniversal社とTelefonica社は、M2M(machine to machine)という技術を持つインテリジェントなゴミ箱を開発した。コンテナは管理責任者に預かったゴミの量とインシデントの情報を提供する。オペレーターは、必要に応じて廃棄物を収集しにくるというわけだ。
 他のコンテナはゴミを圧縮してより多くの廃棄物を保管することが可能。これらのシステムは世界中にいくつかあり、バルセロナのSant Cugat delVallesでは、米国の会社BigBelly Solarが、太陽エネルギーから一連の動作を実行するコンテナを設置した。ガリシアの会社、Formato Verde / TNLは、アブダビの地下で廃棄物をコンパクトにし、Wi-Fi接続を介してゴミの状況を報告し、しかもゴミを廃棄したユーザーを特定する。
 視覚障がい者や運動障がい者に適したコンテナ(バルセロナなど)もある。高さが低く、人間工学的に優れていて、認知しやすい色と情報を絵文字と点字言語でよりわかりやすく、簡単に開け閉めできるようになっている。SantanderやMostoles(マドリード)などの他の都市も、この種のコンテナを増強した。
 ロンドンでは、防爆構造のコンテナを使用。最新のニュースや交通情報を見ることができるLCD画面を使用することができる。ニューヨーク、東京またはシンガポールにも、このタイプのコンテナがある。
 環境保護と自転車利用で有名なオランダの都市・グローニンゲンには、非常に特殊なコンテナがある。このコンテナの目的は、ゴミの盗難を減らし、リサイクルしない市民を知ること。 RFIDリーダ(無線周波数)は、このサービスを可能にする。グローニンゲンの住民は、生ゴミの量に応じて税金を払い、リサイクルされていることに注意する必要がある。スマートコンテナはアカウントを保持し、不正行為を防止。さらに、彼らはゴミの分類システムと各住民が市に支払わなければならない金額を計算してくれる。
 スペインGuipuzcoaにあるLazkaoの自治体では、有機物を堆肥化するためのコンテナが設置された。コンテナの操作をテストし、パーソナライズされたカードを受け取るために、いくつかの隣人が選ばれた。グローニンゲンのように、リサイクルしていない人に税金を引き上げる責任ある市民に報酬を与えるシステムだそうだ。
 学生時代から受験しているDELEだが、毎回問題のテーマが難しく、インテリジェントモビリティー、ハイブリッドカーが動く仕組みや心理学に関する問題が出されて筆者の伝えたいものを選択肢の中から選べという問題が苦手だ。一番嫌いなのは、グラフと文を読んで自分の考えをレポートにボールペンで2ページ書かなければならない論述。毎回読解と論述の点数が足りなくて不合格となっているので、今回はその2点を重点的に勉強したつもりなので、合格であってほしい。

関連ホームページ:Residuos Expo
このサイト上に写真で紹介されているインテリジェントゴミ箱は、無線センサーによりゴミ箱が
満タンになったことを地域のゴミ回収車に知らせるたり、ゴミがたまると圧縮させてゴミを
小さくすることが可能。
http://www.residuosexpo.com/RE2018/es/blog/93-contenedores-inteligentes

(2018.5.23/神谷佐菜)