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旧東海道を歩く(宮宿〜池鯉鮒宿)/愛知県名古屋市〜知立市

 近年、まちづくりのテーマとして歴史が注目されている。それも文化財としての歴史を評価するというよりも、地域の人々に親しまれてきた身近な歴史というものが地域の個性として重要視されるようになっている。そういう点で昔の街道は多くの人々が往来し、まちとまちをつないできたという点で重要な意味を持っている資源といえよう。

 これまでも東海道の宿場町については、まちづくりにおいても重要な意味を持つ空間として、その折々にまち歩きをしてきたが、この連休を利用し、宮宿(名古屋市)から池鯉鮒宿(知立市)まで歩いてみた。この間の距離は17.1km。昔の人々は東海道492kmを14〜15日で歩いたというので1日平均35km。当初はうまくいけば岡崎宿(+15.0km)まで歩けるかと思ったが、時間的にも体力的にもとても無理。三河八橋の八橋かきつばた園(かきつばたまつり開催中)まで足を延ばすのが精一杯だった。
 1日かけて歩いてみると、他と比べることによって、名古屋市の町並み保存地区にもなっている有松の町並みのすばらしさがより実感できる。無電柱化も進められており、古民家が飲食店などに有効に活用され、まちの魅力アップに貢献している。さらに、「有松古民家再生プロジェクト」と銘打ち、古民家風の高齢者優良賃貸住宅を新築するとともに、古民家をデイケアセンターとして再生する試みも進んでいた。休日だったためか車の通行も少なく、歩いていても気持ちがよい。しかし、地域の人々にとっては車の通行で不便を強いられるのは困るということだろうか。「旧東海道一方通行反対」の看板が掲げられており、難しさを感じた。
 宿場町である宮宿、鳴海宿、池鯉鮒宿には趣きのある町家が残されており、東海道53次の宿場町としての自負のようなものが感じられるが、それ以外の場所にも歴史を感じる風景が隋所にみられる。舗装を変えたり、遊歩道として整備したり、東海道を意識した整備が行われているところもみられるが、沿道の建物所有者がもう少し東海道というものを意識すれば、魅力的な景観が形成されるのにと思われるところも多い。もしかしたら、自分の家の前の道が旧東海道であることを知らずに住んでいるのではとも思ってしまう。

 旧東海道を歩いてみて驚いたのは、昨年島田宿から掛川宿を歩いた時にも感じたことだが、同じように旧東海道を歩いている人が結構いたことだ。今回のコースは途中に取り立てて見所がなく延々と歩くだけのところもあるのだが、何人かとすれ違った。健康づくりと兼ねてウォーキングを楽しむ人が増えているのだろう。ウォーキングを楽しむ人々をまちづくりに巻き込むことで、まちの新たな魅力を生み出すことができるのではないだろうか。ウォーキングという視点からまちを見直してみたいと思う。


グループホームとして活用されている熱田荘(宮宿)


右側の町並みは建て替えで前面が駐車化してしまい町並みの連続性がなくなってしまった(笠寺)


芭蕉存命中に建てられた唯一の翁塚である千鳥塚と今では珍しい鯉のぼりの風景(鳴海宿手前)


歴史を感じる町家(鳴海宿)


無電中化がすすむ有松(電柱だけがまだ残っている)


古民家を活用した飲食店(有松)


有松古民家再生プロジェクト


魅力を感じる風景(豊明市内)


まつりの風景は歴史的な町並みにあう(池鯉鮒宿)


知立まつり(池鯉鮒宿)


かきつばたまつり(かきつばた園)

(2010.5.11/石田富男)