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交響的多重交流型海峡ロマンス 海の都の恋物語

 市町村の総合計画といえば分厚いものが多く、ダイジェスト版としてまとめて出すケースやよくあるが、これは、今治市(愛媛県)の総合計画を多くの市民に読んでもらおうと、恋愛小説仕立てにしたもので、役所の職員が中心にストーリーを書き上げた。舞台は、瀬戸内海に面する港町で、タオルやミカンの街としても知られる今治の2015年。地元の若者が奔走して海を舞台にしたイベント「海峡フェスティバル」にこぎつけたり、市の「職業体験」に都会から参加した若者や、子供のぜんそくで離島に移住してきた家族のストーリーなど、オムニバス形式の短編集となっている。

 通常の総合計画のダイジェスト版の場合、総合計画本編の要約なので、文章表現がどうしても固くならざるを得ないが、これは「恋愛小説」なので親しみやすい文章表現がされており、登場人物の生活から地場産業振興と定住促進に力を入れる市の施策との関わりが見えてくる。市民の暮らしと市政を少しでも近づけようとする取り組みとして、とても参考になる。

(2008.10.27/浅野 健)