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「JA 57 SPRING,2005 季刊 文化遺産としてのモダニズム建築DOCOMOMO100選」
 
新建築社/

 ちなみに愛知県では、堀口捨己の八勝館御幸の間、槙文彦の名古屋大学豊田講堂、アントニオ・レーモンドの南山大学が選ばれている。DOKOMOMO(ドコモモ)とは(Documentation and Conservation of buildings, sites and neighbourhoods of the Modern Movement)、すなわち「近代建築に関する建築、敷地、環境の資料化と保存」のための国際組織のことである。近代建築と言うと、愛知県庁や名古屋市役所を思い浮かべる方もいると思うが、国際組織のドコモモが対象とするのはこうした建築ではない。日本の近代化は、西欧に追いつけとばかりに、西欧化に主眼が置かれたが、20世紀初頭に世界的に広がったモダンニズム建築とは、過去の様式を否定し、工業化を前提として構造や機能の合理化を追求した建築である。
 この本は、DOKOMOMO Japanが選んだ日本のモダニズム建築100選である。選定の主な基準は以下の通り。
1)1920年代から60年代に竣工した、モダニズムといわれる時代背景をよく表した建築。
2)さまざまな建物の種類、構法を取り上げる。
3)西欧的なモダニズムだけでなく、日本独自のモダニゼーションと表現したもの。
 こうした建物は、一般的に言われる様式的な装飾が施された近代建築と違い、モダニズムの思想があまりのも一般化してしまって、単に古臭い建物としか感じられないかもしれないが、それゆえ、存続が危うい建物が数多い。このDOCOMOMO100選をきっかけに、今後、モダニズム建築の魅力をいかに伝えていくかが課題である。

(2005.3.31/堀内 研自)