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シティプロモーション:地域創生とまちづくり/田中道雄 編著

同文舘出版/2017年5月25日 発行

 昨今多くの自治体が、シティプロモーション課や室をつくり、専任スタッフを置き、いよいよ 本格的に自分達のまちのPRに取り組みだしてきているという。そこには、少子化による 人口減少が進み、多くの自治体が活力を失ってきており、「人口の増加」などの具体的な 成果が一層求められるようになってきた背景があるという。また、成果を上げるために 各地域が売り出す商品となる、地域の魅力やブランドといったコンテンツは、長い歴史の 中で既に多くつくり上げられてきたと編者は考えており、これからは、いかにこれらの商品を 戦略的に販売していくかが重要であるというのである。
  本書は前半で、未だ萌芽期にあるというシティプロモーションのありようを探るとともに、 社会的、経済的な面でシティプロモーションが果たす効果について述べ、後半で13都市・ 地域の事例を紹介している。中でも、シティプロモーションを成功させる上で、市民に 地域への愛着を深めてもらうことや、市民のコンセンサスを得ることが重要になるという 部分は、本書の中で核となる部分の1つだろう。一般的にシティプロモーションというと、 訪問者や移住者増加による経済的効果を狙った、行政主体の広報活動が中心であるが ために、「シティプロモーションは『行政がやるべきことだ』という錯覚に陥りやすい」という。 しかし、地域の魅力というのは、地域に愛着を持った地域住民が媒体となってPRすることで はじめて、外部の人に伝わるというのである。
  後半で取り上げられている13都市・地域の事例紹介は、行政、コンサルタント、NPO代表 などといったように全て著者が異なっており、文体なども統一性が無く自由に書かれているが、 編者が述べているように、結果的に「地域の匂い」や「ストーリー性溢れる」取組みの背景 などが読み手によく伝わるという点は納得がいく。シティプロモーションの理解を深めたい 方にぜひ手に取ってもらいたい1冊である。

(2017.7.31/大河原章介)