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頭のよい子が育つ家/四十万 靖・渡辺 朗子 著

日経BP社/2006.8 発行

  「頭のよい子が育つ家」とは著者が有名私立中学校に合格した家を調査し、その統計結果をもとに分析された家の設えである。初めは、「頭のよい子が育つ家」というネーミングが住宅産業のコマーシャルにしか見えず、また、頭のよい子=有名私立中学に合格した子という考え方には賛同できず無視を決め込んでいたが、実際にこのコンセプトを盛り込んだマンションや戸建て住宅が建てられるようになり、また、書店でもこのタイトルを見かけるようになったため少し調べてみることにした。その結果、自分が家族と家とまちの関係について問題に思っていたことに対して同じような提案を行っており、このメールマガジンで紹介することにした。
  一般に有名中学校に合格する子どものイメージは、個室にこもり勉強に集中する姿であるが、著者の調査ではほとんどの子どもが個室で勉強せず、ダイニングや居間のテーブルで家族と接しながら勉強をしていたそうだ。個室で1人になり勉強していた子どもの方が受験で良い成績を上げていたなら、今までのnLDKタイプの間取りで充分な訳だか、そうではなく家族とコミュニケーションを取りながら勉強する環境が子供の教育に良い影響を与えるという結果が出たのだ。その他、具体的には以下のような設えを提案している。
  ・ 玄関を開放的にし、外部とのコミュニケーションに相応しい空間にする。
  ・ 居間のちゃぶ台など、お父さんといっしょに過ごせる場所を造る。
  ・ 外部の自然との繋がりを意識させる空間づくりを行う。
  ・ ホワイトボードを設置するなど、感じたことを自由に書ける場所を作る。
  ・ 家の中に回遊性を持たせる。
  ・ 間仕切りの省略や吹き抜けを造ることで、家全体が繋がり人の気配を感じられる空間とする。

  「頭のよい子が育つ家」というネーミングがストレート過ぎて私のように抵抗を感じる人もいるだろう。しかし、内容を見ていくと家造りで子供の教育を中心に考えることで、もっと自由なプランが生まれる可能性が見えてくるような提案であった。

(2008.6.23/堀内 研自)