先月、街づくりの研究会メンバーとともに、久しぶりに静岡県浜松市を訪問した。
浜松市は、楽器や輸送用機器の製造企業が多く立地する「ものづくりのまち」として発展してきたが、近年産業の空洞化がみられ、新たな企業誘致や新産業育成を図っている。また、平成の大合併により政令指定都市へ移行(人口約82万人)し、政令市にふさわしい街づくり、駅前整備を進めてきた。
JR浜松駅前には、平成7年に音楽ホールやホテル、商業施設を備えた超高層ビル「アクトシティ」が完成し、浜松のシンボルとして、アクトシティを核とした音楽をテーマにした街づくりが進められてきた。
また、駅の北側では、大規模な土地区画整理事業が施行され、新しい都心拠点として周辺とは全く異なる街並みが形成されている。アクトシティ展望台から眺めるとその違いは明らか。近年では、公共公益施設をはじめ分譲マンションや大型店舗といった民間開発が進み、街としての機能を備えつつも、一部で未利用地が混在し、開発の途中といった印象も。ただ、地区中央に通る緑道や水路などは、このエリアの特徴でもあり、周辺住民をはじめ市民の憩いの空間となっている。
今回の訪問の目的は、この浜松駅周辺の再開発事業の状況等をヒアリングするもので、駅周辺では、既に18地区で事業が完了、2地区で施行中となっている。完成地区の多くは、平成10年から15年前後かけてたて続けて完了し、その当時の力の入れようが伺える。
しかし近年では、急激な景気低迷の影響から、紆余曲折はありながらも進めてきた地区で進捗が鈍る傾向にあり、ある地区では、大手百貨店の撤退表明があり、次の手を模索中とのこと。地方都市の再開発事業はどこでも同じ問題を抱えている。
地方都市の再開発事業には、これまで以上の行政支援か事業の仕組みそのものを見直した形での事業計画の構築がないと成立しない状況にある。再開発事業の厳しい状況がいつまで続くのか不透明だが、浜松市でも支援は継続していくとのことで、今しばらくは我慢の時だが、今後の頑張りに期待したい。 |