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ハノーバー万博見聞記

  去る7月17、18日に2日間、ハノーバー万博の視察を行った。詳細は別稿にゆずり、ここでは感想を中心に述べたい。

 前評判では入場者が少なくガラ隙で、面白くないと言うことであった。実際訪れてみると前者はそうでもなく、後者はそのとおりであった。入場者目標4千万人(日平均26万人)は確かに過大見積もりであり、1時間待ちのパビリオンがいくつかあり、それなりのにぎわいがある規模は10万人(約1500万人)が妥当な数字であろう(ちなみに私が入場した日は9万人前後であった)。テーマ「人類・自然・技術」のもとに11のサブテーマを設け、テーマ館が設置されている。表記はドイツ語中心で英語併記の所もあるが日本語はもちろん無し。日本人にとっては、解説的な展示ほど拒絶反応が起こり、子供感覚での興味とならざるをえない。見て触って面白いもの、興奮するものは特になかったように思える。そのせいか子供が少なかった。映像やアトラクションではもはやテーマパークやIMAXなどを150日間の仮設パビリオンでは超えることはできない。この点はハリウッド的娯楽でなく、哲学の国ドイツ的娯楽なのだという意見もあろうが、そのドイツ的娯楽には馴染みがない。リスボン博のテーマ演劇やロンドンのミレニアムドームのサーカス演劇は、生身の人間が演じているので、バーチャルで味わえない感動があった。

 会場の最長のところで3kmあり、歩くだけで45分かかる。広大で数多くのパビリオンがあるだけに、今見たパビリオンが面白なくても、次のパビリオンへの期待が膨らむ。そして次なるパビリオンへの期待で一日が終わる。会場外で展開される世界プロジェクトのいくつかを見たが、これもまた解説的で、惹きつけない。費用も最小限に抑えているのであろう。
 ただし、既存メッセを有効活用し(空間を持て余し、うまく使い切れていない)、恒久利用できる展示施設の建設を奨励し、鉄道系インフラの整備が行われることによって、メッセ産業の振興、新規産業の誘致は実現可能のように思えた。おそらく1千億円以上の赤字を国と州で分担することになっているようだが、これを国民がどう見るか興味あるところである。少なくともハノーバーは良きにつけ悪しきにつけ世界的に名を売ったのは事実である。万博開催中だけを見るのでなく、万博開催後、その成果をどのように活かしていくのかを見続けることが重要であろう。そしてこれらの教訓を2005年の愛知万博にどのように活かすかが問われている。


 (2000.10.3/井沢)